心肺蘇生法
心肺蘇生法は、意識もなく心臓や呼吸が停止している傷病者に対して行う救命処置です。
傷病者に行われる基本的な救命処置は、①反応の確認、②人工呼吸、③胸骨圧迫が含まれます。AEDが普及してからの救命講習では、心肺蘇生法とあわせてAEDの使用方法が教えられています。
AEDの使用方法は簡単ですが、傷病者を発見してから救急隊員に引き継ぐまでの救命の連鎖が救命率向上に最も重要となっており、救命講習の重要性が高まっています。
■早期通報
① 反応の確認 (肩をたたいて大声で呼びかけて反応を見る)
② 意識がなければ通報 (周囲に助けをもとめ119番とAEDの手配を頼む)
③ 呼吸の確認 (10秒以内で胸とお腹の動きを見る)
■早期心肺蘇生
④ 胸骨圧迫 (胸の真ん中を強く、早く、絶え間なく押す)
・強さ[成人は5〜6cm][小児は胸の厚みの1/3]
・早さ[1分間に100〜120回のテンポ]
・絶え間なく[救急隊に引き継ぐか、意識が回復するまで]
※可能であれば、人工呼吸を行ってください
・30回の胸骨圧迫後2回の人工呼吸
■早期除細動
⑤ AEDの電源ボタンを入れる (電源ボタンもしくは、フタを開ける)
⑥ AEDの音声ガイドにしたがいイラスト通りパッドを傷病者に貼る
⑦ AEDによる解析後ショックの指示があればAEDのショックボタンを押す
・ショックボタンを押すときは必ず傷病者に誰も触れていないことを確認
・解析後2分間の心肺蘇生を繰り返す
⑧ すぐに胸骨圧迫を再開※2分間 (救急隊員が来るまで続ける)
・AEDの機種によって心肺蘇生法の音声ガイド機能があります。
■救急隊への引渡
⑨ 救急隊員への引き継ぎ
・傷病者の発見時の状況や、AEDのショック回数など救命処置の実施状況など報告
① 意識の確認に時間をかけすぎない!
・意識確認の前に傷病者に近づく際、危険がないか周囲を確認する
・反応を見るとき、意識が確認できなければすぐに次の通報の動作に移ってください。
② なるべく手伝ってくれる人を探す!
・一人では長時間心肺蘇生を続けるのが難しい
・胸骨圧迫は非常に疲れるので交代してもらえる人を探す
・助けがいなかったら、119番に通報し、AEDを取りに行く
③ 呼吸の確認も時間をかげすぎない!
・脈拍は確認しない
・正常な呼吸をしていなければ、すみやかに胸骨圧迫を行う
・死線期呼吸など呼吸していないが、一時的に呼吸の動作がみられる場合がある。その場合も胸骨圧迫をすみやかに行う
④ 強く、早く、絶え間なく!
・肘を伸ばし体重をかけてしっかりと胸の中心を押す
・AEDによる解析、電気ショックの時以外は常に継続する
・複数人救助者がいれば交代して胸骨圧迫を続ける
・ベッドの上など柔らかいところに傷病者がいた場合、床など堅い場所に移し胸骨圧迫を行う
・傷病者が小児の場合、可能な限り人工呼吸を行う(呼吸だけが止まっているケースが多い)
・胸骨圧迫中、傷病者の肋骨が折れても胸骨圧迫を継続する。
⑤ AEDが手元に来たら、一番先に電源ボタンをおす(フタを開ける)
・フタを開けると電源がはいるタイプもあります
・フタを閉じると電源が切れるタイプもあります。使用中にフタを閉じない。
⑥ 手順を知っていてもしっかりと音声ガイドを聞く
・パッドを貼る方法は音声ガイドで指示があるので電源を入れるのが先
・AEDは状態に応じた音声ガイドが流れます。よく聞いてください
・ペースメーカーが埋め込まれている場合は、真上に貼らず少し下にずらして貼る
・傷病者の体が汗など塗れていたら服やタオルでふきパッドを貼る
・胴体部分にパッチやネックレスなどがあればのける
⑦ 躊躇せずショックボタンを押す
・ショックの指示があれば、ショックが必要な状態です
⑧ 絶え間なく続ける
・胸骨圧迫の中断時間をなるべく少なくしましょう。救急隊員がくるか、意識が回復するまで絶え間なく続ける
・傷病者の意識が回復しても自分で電源を切ったりパッドを剥がしてはいけません。傷病者の様態が急変する恐れがあります。
⑨ 状況をなるべく詳しく説明する
・AEDの電源を切るのとパッドを剥がす判断は、救急隊員がします。